名古屋城天守の有形文化財登録を求める会

この画像はクリエイティブ・コモンズ ライセンスのもとに利用させていただいております。
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令和7年3月31日に広沢一郎名古屋市長に対し10件の提言、及び質問を行いました。
その内容を公開いたします。
2週間程度でご回答をいただけるようにご依頼しておりますので、
広沢市長よりご回答がいただけましたら、そちらも公開いたします。

追記(4月15日):

広沢一郎名古屋市長より回答をいただきましたので公開いたします。
取り急ぎ画像形式で公開いたしますが、テキスト化が調いましたら、質問と同じ形式に揃えたいと思います。

まずは、期日までのご回答に感謝申し上げます。

追記(5月3日):
広沢市長からの回答を画像形式で公開いたしましたが、テキスト化が調いましたのでテキスト形式も掲載いたします。
当面、テキスト形式と画像形式を2つ公開いたします。
広沢一郎名古屋市長に対する提言、及び質問書(令和7年3月31日)
拝啓

 春和の候、穏やかに心和む季節となりましたが、ますますご清栄のこととお慶び申しげます。広沢新名古屋市長におかれましては、日頃より市民生活の向上に対するご高配に厚く感謝申し上げます。

 私共は「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」と申します。

 ご存知のように、名古屋市民は、名古屋大空襲の戦災によって失われた名古屋城天守を、昭和34年に、総工費6億円の内、三分の一を市民自らの寄付によって賄い、現存する名古屋城天守建物を再建いたしました。

 現存天守は文字通り市民の手によって再建された、戦後復興期のシンボルであり、貴重な遺構であります。築後65年を数え、その優美な外観復元とともに充分に有形文化財として長く保存する価値のある歴史的建築物であります。

 この度、名古屋市の新市長となられました広沢様に、以下のような提案並びにご質問をさせていただきます。ご多忙中とは存じますが、ご回答いただければ幸いです。

1.名古屋城に関する史資料の「世界の記憶」への登録のご提案

 「世界の記憶」(Memory of the World)とは、世界的に重要な記録物を保存公開するためにユネスコが1992年に設けた事業です。対象になるのは、手書き原稿、書籍、新聞、ポスター、地図、映画・フィルム、写真、デジタル記録等となっています。

 日本の近世城郭は、姫路城が世界遺産登録されているように世界的に見て特異な建築様式であり、名古屋城は、近世城郭の到達点で、近世城郭史上、最盛期の技巧を示していました。

 その名古屋城についての貴重な記録である「金城温故録」、「徳川義勝侯撮影の写真」、「昭和実測図」などの史資料は「世界の記憶」として登録するのにふさわしい条件を備えています。

 名古屋城天守の木造復元で1000年後には世界遺産登録をとの願いが唱えられておりますが、木造復元が見通せない中、上記史資料の「世界の記録」への登録は現状でも可能と思われます。また、天守木造復元、現コンクリート天守存続の如何にかかわらず実現可能でもあります。

 名古屋市におかれましては、上記史資料の「世界の記録」への登録を行われるよう、お勧め致します。
( 参考:文部化科学省HP https://www.mext.go.jp/unesco/006/1354664.htm

2.本質的な方針の変更に伴う現存天守の価値の再考について

 河村前市長は、名古屋城木造復元に対して「史実に忠実な本物の復元を行う」とされていましたが、広沢新市長は「文化財の資質を損なわない復元を行う」とされておいでです。
 現存名古屋城天守は、筑後65年が経過し、優美な外観復元は往時の姿を忠実に再現しております。また、RC造とはいえ、曲線をなす唐破風などは、現在の型枠技術では再現不可能と言われるほどの優れた建築技術の成果でもあります。

 このように価値のある現存天守を破壊してしまうのではなく、耐震改修に依って維持延命を行い、同時に登録有形文化財とされるお考えはございませんか。

3.安全性の評価、歴史的復元計画という意義を踏まえた資料の全面公開を求めます

 名古屋市は名古屋城天守木造化について、建築基準法の適用除外を受けるために、現在の建築基準法からの逸脱は許容されるとのお考えのようですが、この適用除外には建築審査会の同意が必要とされ、法同等の安全性を担保するよう求められております。

 また、名古屋城天守の復元であるとするならば、歴史的意義も高い計画であろうと存じますが、基本計画の資料等が黒塗りとなり、どのように安全が担保されているのか、そして歴史的再建がどのような経過を経て実現されていくのか不明であります。

 名古屋市民のみならず、歴史的建築物の復元計画という学術的意義も踏まえ、こうした資料については全て公開されるお考えはありませんか。

4.広沢新市長の所信についての市民説明会の開催を求めます

 現在名古屋城天守木造化計画は残念ながら停滞しているものと感じます。こうした経過、理由についてご説明いただき。また同時に広沢新市長の所信も市民に明らかにするため「市民説明会」を 開催するお考えはありませんか。

5.改修費用、収支計画についての市民説明会の開催を求めます

 今まで名古屋市は名古屋城天守木造化に係る費用について約505億円との説明を続けてきましたが、名古屋市観光文化交流局ナゴヤ魅力向上室が発行、配布された「名古屋城天守閣の整備」とのパンフレット(2016年6月発行)において、支出費用の計が979億円にのぼるとの説明がされています。

 その内容は「建設費、元金約505億円、利子約101億円、運営管理費276億円、集客促進費2億円、修繕費31億円、基金積立64億円」であると記載されております。

 これについて、「木造建築物の60年にわたる修繕費が31億円では賄えない」との専門家の指摘があります。ちなみに名古屋城は姫路城に対して容積で約3倍以上の差がありますが、姫路城では1956年の「昭和の大修理」で約5億円。2009年の「平成の大修理」で約28億円の費用がかかりました。その他毎年改修費用がかかっています。

 名古屋城木造化計画においては、本体計画だけではなく、階段体験館ステップ名古屋の設置、名古屋城調査研究センターの開設、木材保存費用等、予定には無かった費用もかかっております。現状で完成までに幾らほどかかるのか、そしてその収支計画はどのようになっているものか、市民に対してご説明いただく「市民説明会」を 開催する予定はありませんか。

6.名古屋市が把握する文化庁の鉄筋コンクリート造天守に対する見解を伺います

 河村前市長は平成26年6月27日、名古屋市会本会議における発言で以下のように述べておられます。

「天守閣につきまして(略)鉄筋コンクリートによるもう一回再建は認めないということを文化庁がはっきり言っております。したがいまして、あと何年もつか知りませんけど、30年なのか、50年なのか、100年なのかわかりませんが、もう朽ちたときにはあれは壊さないけません。(略)何にもなしになってしまうのか、それとも、木造再建をするかということで(略)」

 つまり、文化庁は名古屋城天守について「鉄筋コンクリートによるもう一回再建は認めない」ので現在の天守建物が老朽化した後には「何にもなしになってしまうのか、それとも、木造再建をするかという」選択を迫られる。との答弁であったと解釈いたしますが、文化庁が「鉄筋コンクリートによるもう一回再建は認めない」との方針を示した事実は確認されましたでしょうか。

7.2つの文化庁の見解について広沢新市長の所見を伺います

 上記の河村前市長が述べられた文化庁見解とするものは、令和2年6月に文化庁より示された「史跡等における歴史的建造物の復元の在り方に関するワーキンググループ」の「取りまとめ」である「鉄筋コンクリート造天守等の老朽化への対応について」(以下、「文化庁取りまとめ」と記載します)における見解と矛盾するものであると考えますが、広沢新市長におかれましてはどちらの見解に立たれますでしょうか。

8.誤りの指摘されている「2万人アンケート」のやり直しを求めます

 2016年(平成28年)に行われた所謂「2万人アンケート」において、名古屋市は「現行天守閣を耐震改修した場合でもコンクリートが概ね40年の寿命」などと記載しましたが、これは上記「文化庁取りまとめ」において示された「RC建物の耐久年数が50年と言われていることもあるが、それは財務省令におけるRC建物の減価償却上の年限であり、RC建物自体の寿命を指すものではない。老朽化対策が適切に行われれば、相当年数長寿命化を実現することは不可能ではないと考えられる」との見解とは異ります。

 「文化庁取りまとめ」において文化庁は「RC造天守は、その多くは往時の外観を模して再現されているように、史跡等の往時の姿を今に伝え、その本質的な価値を正しく理解していくうえで一定の役割を果たしてきた。」として現存する名古屋城天守を含むRC造天守に対して肯定的な評価を与えています。

 名古屋市はこうした文化庁の見解も踏まえ、改めて市民に対し、先行する大阪城天守閣における平成の大改修にならった、コンクリートの脱アルカリ化及び耐震補強工事の実施を行い、昭和34年に市民からの多額の寄付によって再建された現存天守建物を守っていくべきか、多額の費用を払って木造天守を建造するべきか、民意を問うアンケート等を実施すべきであると思いますが、広沢新市長におかれましてはどのような見解を持たれますか。

9.世界的なバリアフリーの新技術募集によって判明した事実に対する見解

 名古屋市は2019年(令和元年)に昇降技術の実験施設として、総工費9040万円をかけて階段体験施設「ステップなごや」を開設し、「史実に忠実な復元とバリアフリーの両立を目指し、昇降技術を世界中から募り、実用化して木造天守へ導入することを目的とします」(「名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募」の実施について(令和4年4月18日)より)として、開発契約費8千万円、導入契約費2億円(ともに上限)(「名古屋城木造天守閣の昇降に関する公募 公募要領」(2022年7月)より)を示し、昇降技術を公募し、2022年(令和4年)に優秀提案者を選定いたしましたが、その提案においても結局「史実に忠実な復元」と「(法の要請する)バリアフリー」の両立は叶いませんでした。

 すなわち現代社会の技術力ではこの両者の要望を両立させることはできないと判明したわけです。

 現在の天守建物は、河村前市長の上記平成26年6月27日発言に依るとしても、30年程度は保つものと考えられ、30年もすれば「史実に忠実な復元」と「バリアフリー」の両立を叶える技術の開発が為されるかもしれません。現代社会の技術力で実現できない計画については延期し、見直すべきと思料いたしますが広沢新市長におかれましてはどのような見解を持たれますか。

10.現存天守は唯一無二の存在であるという歴史的意義について

 木造復元天守が、今、歴史的必然性もなく復元できるというのであれば、それは費用さえかければ、いつであっても復元することはできるということです。上でご指摘いたしましたように、現代社会には存在しない、「史実に忠実な木造復元」と、「バリアフリー」の両立を叶えるような技術が開発されてから、改めて木造復元を行うことは可能でしょう。将来にわたり再度、火災等によって消失しても、費用さえかければ幾らでも再建可能であるということです。しかし、第二次世界大戦で焼失し、戦後復興の象徴として再建された現存天守は、一度破壊してしまえばその歴史的意義は永遠に失われてしまいます。現存天守についての唯一無二の、取り返しのつかない歴史的意義について広沢新市長はどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。

 以上の提案並びに質問について、ご回答をいただければ幸いでございます。当質問及びご回答は、広く公表されますことを予めご了承ください。ご回答は2週間程度の猶予を持って下記回答先にご提示いただけると幸いです。
 なお、末筆ながら新市長並びに職員の皆様のご健勝をお祈り申し上げます。


                             敬具
               令和7年 3月31日         
               名古屋城天守の有形文化財登録を求める会

広沢一郎名古屋市長からの回答(令和7年4月15日)

名古屋城天守の有形文化財登録を求める会
事務局
7観名保第4号
令和7年4月15日
名古屋市長 広沢 一郎
市長に対する提案並びに質問について(回答)

日頃より、市政にご理解とご協力をいただき、誠にありがとうございます。
令和7年3月31日付けで求められた提案並びに質問について、下記のとおり回答します。




1.名古屋城に関する史資料の「世界の記憶」への登録のご提案

(回答)
 ご提案にかかる史資料は、名古屋城にとって貴重な記録であり、その歴史的価値を広く知っていただくことは重要であると考えております。しかしながら、これらの史資料は国内での学術的評価がまだ十分にされているわけではなく、現状では「世界の記憶」への登録は難しいと考えております。
 そのため、まずはこうした資料の価値を明らかにするための調査研究を進め、特別史跡名古屋城跡が有する文化財や資料等に関する学術的・総合的な調査研究を実施するとともに、本質的価値の理解を促進するため、様々な方策を検討してまいります。

2.木質的な方針の変更に伴う現存天守の価値の再号について

(回答)
 現天守閣は、戦後復興の象徴として、内部を博物館とする鉄骨鉄筋コンクリート造で再建され、ケーソン基礎の採用や、精度の高い外観復元が行われるなど、当時の建築技術の水準を表すとともに、鉄骨鉄筋コンクリート造等で再建された天守閣の代表事例として評価でき、再建後65年が経過して、文化財となり得る一定の価値が生じてきているものと認識しております。
 一方、耐震性の確保等の課題が生じており、耐震改修などによる現天守閣存続と木造復元とを比較衡量した結果、明治維新により多くの城が破却される中で、永久保存するとされた経緯を踏まえ、文化庁の基準に基づき、昭和実測図をはじめ豊富な史資料により、外観のみならず内部を含めて、可能な限り史実に忠実な復元を行い、先に復元された本丸御殿とともに、近世期の名古屋城本丸を体感できる歴史的・文化的空間を蘇らせることで、特別史跡名古屋城跡の本質的価値の向上と理解促進を図ることができるものと考えております。
 木造復元に際し、戦後復興の象徴として再建された現天守閣の記録を適切に保存・活用し、広く発信していくことで、果たしてきた役割等を後世に継承するなど、 丁寧に進めてまいります。

3.安全性の評価、歴史的復元計画という意義を踏まえた資料の全面公開を求めます

(回答)
 往時の姿に復元し、多くの方に歴史的・文化的空間を体感いただく計画とすることで、特別史跡名古屋城跡の本質的価値の理解を促進させることができると考えておりますが、復元に至るまでの調査研究なども同様に、特別史跡名古屋城跡の本質的価値や、我が国の伝統技術の理解を深めるものと認識しております。
 現在、本市のウェブサイトにおいて、復元原案の考証や、防災上の観点を踏まえた復元計画の内容等をとりまとめた「特別史跡名古屋城跡木造天守整備基本計画 (案)」(以下、「整備基本計画案」とする)や、有識者会議での検討状況を公開しておりますが、より分かりやすい情報発信に努めるなど、事業への理解を深めていただけるよう丁寧に進めてまいりたいと存じます。
 ご指摘の資料等については、防災・避難計画策定に係る事業者の技術上のノウハウに関する情報等を含むことから一部非公開としておりますが、今後の情報公開についても、裁判所の判断の主旨を踏まえつつ、本市情報公開条例に則り、適切に対応してまいります。

4.広沢新市長の所信についての市民説明会の開催を求めます

(回答)
 現在、「名古屋城バリアフリーに関する市民討論会」における差別事案に係る検証委員会からの最終報告を踏まえ、これまでの事業全体の進め方がどうであったかの観点を含めて総括を行っているところです。
 今後、総括の内容を示した上で、障害者等当事者への謝罪を行い、受け入れていただきましたら、市民の皆様にも経緯や今後のあるべき進め方等を丁寧に説明しまして、事業を再開してまいりたいと考えております。
 なお、私が市長に就任したことをもって、従前からの市の事業の方針を変更するものではないため、所信を明らかにするための市民説明会は予定しておりませんが、 天守閣整備事業の理解を深めていただけるよう、様々な機会を捉え、市民向け説明会の開催を検討してまいります。

5.改修費用、収支計画についての市民説明会の開催を求めます

(回答)
 木造天守復元にかかる収支計画につきましては、平成28年度に第三者機関による調査を行ったうえで、総務省へ提出いたしました。しかしながら現在、竣工時期を見通すことができないことから、具体的な費用を算出できない状況となっております。
 一方で、市民の十分な理解のもと事業を進めていくことが重要であると認識していることから、事業の再開後には、事業費や事業の進捗状況などについて、様々な機会を捉え、説明できる場を設けられるよう検討してまいります。今後も、より分かりやすい情報発信に努めるなど、事業への理解を深めていただけるよう丁寧に進めてまいりたいと存じます。

6.名古屋市が把握する文化庁の鉄筋コンクリート造天守に対する見解を伺います

(回答)
 平成27年6月に、文化庁に天守整備の考え方について照会を行ったところ、「天守を復元する場合は、原則として材料等は同時代のものを踏襲する必要があるが、それ以外の可能性を排除するものではない。」とした上で、「名古屋城天守閣については、往時の資料が十分そろっていることを踏まえると、いわゆる復元検討委員会において木造によるできうる限り史実に忠実な復元をすべきと意見が出される可能性が極めて高いと考えられる」との見解をいただいております。

7.2つの文化庁の見解について広沢新市長の所見を伺います

(回答)
「鉄筋コンクリート造天守等の老朽化への対応について(取りまとめ)」 (史跡等における歴史的建造物の復元の在り方に関するワーキンググループ)では、「木造か延命化のどちらが史跡等の本質的価値に資するかを検討したうえで、今後木造による再現の可能性を模索するなど、個々の史跡等の事情により様々な整備方策を執ることが考えらえる」と示されております。
 名古屋城天守においては、耐震改修などによる現天守閣存続と木造復元とを比較衡量した結果、明治維新により多くの城が破却される中で、永久保存するとされた経緯を踏まえ、文化庁の基準に基づき、可能な限り史実に忠実な復元がされた天守は、先に復元された本丸御殿とともに、本質的価値の向上と理解促進にとって大きな効果が得られることから、木造で復元する方針としております。

8.誤りの指摘されている「2万人アンケート」のやり直しを求めます

(回答)
 平成28年度の2万人アンケートで、現天守閣の耐用年数を約40年程度(再建からの合計で約90年程度)としたことは、平成22年度に実施した構造体劣化調査における残存耐用年数の評価結果に基づいたものであります。
 現天守閣については、精度の高い外観復元が行われている点で近世城郭の理解に寄与し、大きな役割を果たしてきていると認識しておりますが、本市としては、特別史跡名古屋城跡の理解・活用にとって適切かつ積極的な意味を持つかという観点で比較衡量を行い、天守を木造復元する方針としており、2万人アンケートにおいて、回答者の6割以上の方に木造復元に賛同いただけたことが、木造復元に対する市民の思いの表れであると受け止めております。

9.世界的なバリアフリーの新技術募集によって判明した事実に対する見解

(回答)
 名古屋城の木造天守復元につきましては、文化庁の基準に基づき、規模、構造、 形式等において高い蓋然性を確保するとともに、防災面や観覧上必要な現代設備を付加することにより、江戸情緒を損なわない、可能な限りの史実に忠実な復元を目指すこととしており、バリアフリーとの両立が叶わないとは考えておりません。
 社会要請としてのバリアフリーは重要であり、昇降技術に関する公募で選定された小型昇降機は、梁や柱などの主架構を傷めることなく設置できる技術であることから、可能な限り上層階まで設置することについてチャレンジし、史実性とバリアフリーを両立させてまいりたいと考えております。

10.現存天守は唯一無二の存在であるという歴史的意義について

(回答)
 現天守閣は、戦後復興の象徴として、内部を博物館とする鉄骨鉄筋コンクリート造で再建され、精度の高い外観復元が行われた点で、近世城郭の理解に寄与し、大きな役割を果たしてきております。また、市民の愛着や誇りを醸成するとともに、地域の観光振興に寄与し、名古屋の都市のイメージを対外的に発信し続けてきたことの意義は大きいと認識しております。
 こうした現天守閣の価値について、文化庁や有識者の意見をいただきながら、整備基本計画案の中にとりまとめてきており、木造復元に際し、戦後復興の象徴として再建された現天守閣の記録を適切に保存・活用し、果たしてきた役割等を後世に継承することで、400年を超えて存在してきた名古屋城の歴史的価値を高める要素になるものと考えております。

名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所

広沢一郎名古屋市長からの回答(令和7年4月15日)

広沢市長以外の個人名については画像処理をさせていただきました。