名古屋城天守の有形文化財登録を求める会













壊してしまったら・・・


失われてしまいます。

今の名古屋城天守も、

戦後、再建した名古屋市民の願いも。


名古屋城天守を「戦後復興、市⺠のシンボル」に
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令和6年(2024年)名古屋市市長選挙
立候補予定者の皆さまへの公開質問



補足説明:当質問状を10月29日に4名の方々に、11月7日に更に5名の方々に郵便にてお送りいたしました。

連絡先住所、電話番号、及び当サイトのアドレス並びにQRコードも添えてお知らせしております。

各回答者様におかれまして、補足コメントの追加、訂正等がございましたらお申し出ください。
現在までのところ、電子メールにてご回答をいただいておりますので、タイポ等は無いものと存じますが、そうした修正要望についてもお申し出いただければ対処させていただきます。


「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」として、名古屋市市長選挙立候補者の方々にお送りする公開質問です。

11月10日の告示までにご回答いただければ幸いです。
当質問とご回答を当会のサイト(こちら)に公開させていただきます。

 私どもは「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」と申します。 現存する名古屋城天守の文化的価値を訴え、有形文化財への登録を求めていく活動を続けております。
 現在、名古屋市は現天守を破壊し、木造による建て替え計画を進めておりますが、この計画には様々な問題点があると考えております。つきましてはこの度、名古屋市市長選挙に立候補された皆様の当該事業に対するお考えについて質問をさせていただきたいと存じます。

 1.名古屋城木造化事業に対する名古屋市民の民意について

(1-1)名古屋市は平成28年(2016)に2万人アンケートを実施しました。その際「現行天守閣を耐震改修した場合でもコンクリートが概ね40年の寿命」などとする根拠のない文言が添えられました。こうした設問の在り方についていかが思われますか?

(1-2)文化庁は令和2年に見解(※1)を公表し、鉄筋コンクリート造天守の文化的価値を認めております。こうした見解に対するお考えをお聞かせください。

(1-3)上記2万人アンケートには上記(1-1)のような不適切な設問があり、更にこの調査からすでに8年経っております。今一度、公平、公正な立場で現行天守の耐震改修を行うべきか、木造化事業を進めるべきか、名古屋市民に民意を問うお考えはございますか?

 2.木造天守に対するバリアフリー設備導入について

(2-1)「史実に忠実な復元」と「法の要請するバリアフリー」(※3)の両立は可能とお考えでしょうか?

2-1補足情報:名古屋市は令和4年(2022)に「史実に忠実な復元とバリアフリーの両立を目指し、昇降技術を世界中から」(※2)募るとして国際公募を行い、優秀提案者を選定しましたが、その提案においても「史実に忠実な復元」と「法の要請するバリアフリー」(※3)の両立は叶いませんでした。すなわち現代社会の技術力ではこの両者の要望を両立させることはできないと判明したと考えます。

(2-2)名古屋市の昇降技術開発のための支出は適切であるとお考えですか?

2-2補足情報:名古屋市は昇降技術の開発のために令和元年(2019)に実験施設として、総工費9040万円をかけて階段体験施設「ステップなごや」を開設し、更に昇降技術の国際公募に開発契約費8千万円、導入契約費2億円(ともに上限)(※4)を示しております。

(2-3)日本弁護士連合会は令和4年(2022)10月24日に名古屋市に対して要望(※3)を提出しております。名古屋市はこれに対して早急に回答を行うべきと考えますがいかがお考えでしょうか。

 3.討論会差別発言について

(3-1)令和5年(2023)6月3日の「市民討論会」における差別発言問題に対するお考えをお聞かせください。

3-1補足情報:名古屋市は令和5年(2023)6月3日「名古屋城バリアフリーに関する市民討論会」を開催し、その際、参加した市民より身体に障害を持つ人々に対する差別発言が投げかけられ、主催する市の職員等も制止できませんでした。この問題に対する検証委員会は令和6年(2024)9月18日に最終報告を提出しております。

(3-2)名古屋市の差別事案検証委員会は「障害者差別解消の推進に関する条例の改正」及び「市職員対応要領」の明記、並びに「行動指針」の提示を求めています。いかがお考えでしょうか。

(3-3)同報告では「実効性のある人権条例の制定」を求めております。こうした提言に対するお考えをお聞かせください。

(3-4)名古屋市は天守木造化事業について、以上のような人権擁護の為の制度を整備し、それらに準じて進めるべきと考えます。つまり、上記(3-2)(3-3)に示された提言が実現されない限り木造化事業を進めるべきではないと考えますがいかがでしょうか。

 4.名古屋城木造化事業の収支計画について

(4-1)名古屋市は木造復元後2071年度まで入場者数が320万人前後で推移すると想定しておりますが、この見込み数についていかが思われますか。

4-1補足情報:平成28年(2016)に示された「名古屋城天守閣木造復元に向けた調査業務」と題された文書(※5)には木造復元後2071年度まで入場者数が320万人前後で推移するとされています。

(4-2)将来人口が減少する中で入場者見込み数が減少しない推計についていかが思われますでしょうか。

4-2補足情報:同調査の入場者推計の根拠として、国立社会保障人口問題研究所の全国の将来人口推計結果をあげていますが、2016年現在における同推計結果は2065年までしか算出されておりません。また、同調査における人口変動と上記調査業務における入場者見込み数が整合していません(※6)。

(4-3)名古屋市は議会からの条件を無視して木材を調達し、現在保管管理費に年間約1億円がかかっております。いかが思われますか?

4-3補足情報:名古屋市は木材調達費として平成30年6月定例会に約94億円の予算を提示しました。その際議会より「木材の調達に当たっては(略)現状変更許可の見通しを立てた上で計画的に行うこと」(※7)との条件を付して承認されました。しかし市は文化庁からの現状変更許可の見通しが立たないまま木材を調達し、現在その保管管理に年間約1億円の経費が費消されています。

 5.名古屋城木造化復元事業の安全性について

(5-1)名古屋城木造化復元事業に係る情報は、歴史的価値があるものであり、その全ては公開されるべきと考えますがいかがでしょうか?

5-1補足情報:「木造天守整備基本計画(案)」(※8)の内「③防災・避難計画」に示されている一般財団法人日本建築センター(BCJ)の評定(※9)及び一般財団法人日本消防設備安全センターの評価書(※10)について、内容がほとんど黒塗りとなっております。

(5-2)「二方向避難路」の未整備な計画を容認されますか?

5-2補足情報:「木造天守整備基本計画(案)」(※8)の内「③防災・避難計画」中「ア 防災・避難計画の基本的な考え方」において「復元原案では以下の防災・避難上の課題がある」「内部及び外部への避難ルートが限られている。大天守からの避難経路は、橋台・小天守地階を経由して、地上へと避難する経路1ヶ所のみとなる」との指摘に対して、「上記課題に対し次の対策1~4を講じ、対策の効果を避難計算等により検証し、観覧者が安全に避難できることを確認した」とされておりますが、対策1から4において、指摘されている「大天守から(略)橋台・小天守地階を経由して、地上へと避難する経路」を多重化する方策が含まれておりません。わずかにあるのは、対策1の「小天守も入場制限を行い」とされているのみで、避難経路の多重化には寄与しておりません。「二方向避難路」は建築基準法施行令第121条第3項で求められており、これを怠った場合、例えば小天守から火災が発生したような場合には、天守内部にとり残された観覧者は避難経路を失い、生命の危険にさらされると考えられます。

(5-3)発災時に観覧者を地上高30m以上の瓦屋根を歩かせて、はしご車まで避難させるという現行計画についていかが思われますか?

5-3補足情報:一般財団法人日本消防設備安全センターの評価書に添付されている2019年12月18日専門委員会の質疑・指摘事項及び回答・措置等(※10のPDF64ページ)によると、5階より避難はしご(避難はしご車)によって避難する場合、一般観覧者が屋根の上を歩いて避難する予定であることが推測される(黒塗りが多く、正確には判別不能)。当該屋根は地上高30mを超えている。発災時に一般観覧者を、このような場所の瓦屋根を歩かせる避難計画になっている。

 6.現存名古屋城天守の有形文化財登録に関して

 現在の名古屋城天守は、戦災によって焼失した尾張名古屋のシンボルである天守を、昭和34年、総工費の三分の一を市民からの寄付により賄った。文字通り市民の建てた名古屋市民の宝であります。戦後復興期に市民の手によって再建された、貴重な遺構であり、築後65年を数え、その優美な外観復元とともに充分に有形文化財として長く保存する価値のある歴史的建築物です。

 現存名古屋城天守の有形文化財登録に関してのご意見をお聞かせください。


ご多忙中誠に申し訳ございませんが、よろしくお願い申し上げます。





立候補者:水谷 昇 さまの回答

1-1
適切なアンケートとは言い難い。

1-2
文化庁の見解を支持する。

1-3
ない。私が当選したら民意として木造化は中止する。


2-1
不可能

2-2
不適切。不要な出費である。

2-3
早急に回答すべき。

3-1
全くの不適切。名古屋の恥である。

3-2
内容は知らない。基本的人権を最重視して、あらゆる差別に反対し、行動したい。

3-3
支持する。

3-4
その通りだと思います。


4-1
現在200万人だが、木造化しても20万人くらいしか増えないと思う。それも日本人の高齢者が中心。

4-2
名古屋城は木造化してもインバウンド効果は全く期待できない。日本人観光客だけなので、人口減少とともに入場者も減少するはず。

4-3
現存城の内部木造想美化に利用する。余った木材は売却する。


5-1
はい。

5-2
容認できない。

5-3
不可能な計画である。

5-4
登録を働きかけていくのが良い。

以上です。
水谷

立候補者:太田 敏光 さまの回答

回答

1-1-おかしい
1-2-そのとおり
1-3ーおこなうべき

2-1-両立は不可
2-2ー適切ではない
2-3-早急に回答をおこなうべき

3-1-司会者。当局に教育する
3-2ー行動指針の提示を
3-3-求めるべきです
3-4-そのとおり

4-1ーうそだとおもう
4-2ー嘘と思う
4-3-いかんとおもう。
                                                           
2024.11.09

立候補者:尾形 けいこ さまの回答

                                                   2024年11月10日
名古屋城天守の有形文化財登録を求める会様                                  尾形けいこ

                      公開質問に対する回答について

 貴会の活動に敬意を表します。
 公開質問をありがとうございました。
 各項目ともに、これからの名古屋市民のくらしにかかわる重要な問題であり、市長選挙を通じて市民のみなさんに判断・選択をいただきたいと思い、以下回答させていただきます。

(1-1)
 コンクリートの法定耐用年数は40 年ですが、丁寧に保全活動をすることで寿命は変わります。アンケートで木造建築物の寿命のことにふれていないこととあわせて公平性に各設問だと思います。

(1-2)
 現天守閣は、豊富な史資料に基づいて外部復元がされており、文化的価値の高いものです。近世城郭としての姿と近代建築の機能性を備えた建造物であり、後世に残すべき建造物です。

(1-3)
 2016年に採られたアンケートですが、8年経過し、その後様々な課題や問題点が浮き彫りになってきています。何らかの形で改めて市民の意見を問うことは必要だと考えています。

(2-1)
 史実の天守閣にバリアフリーは含まれておらず、史実に忠実な復元でバリアフリーにすることは不可能です。

(2-2)
 昇降技術の開発そのものは意義のあることと考えますが、天守閣の木造復元のために費用を投入することは、木造で復元する目処が立たない以上適切ではないと考えます。

(2-3)
 早急に回答すべきです。

(3-1)
 木造復元は、史実に忠実に復元すれば、障害者を排除することになります。計画そのものに差別的な要素があります。史実に忠実に復元を進めようとする前市長の姿勢が、差別発言を招いたと考えます。

(3-2)
 差別検証委員会の提言に賛成です。名古屋市はこの討論会の後「職員対応要領」を改正しましたが、提言に触れられている通り、市が差別をした相手方となった場合の対応が不十分です。また市と事業者、市民が協調して共生社会を実現していくための行動指針を条例に盛り込み、具体化していくことをぜひ取り組みたいと考えます。

(3-3)
 実効性のある人権条例の制定に賛成です。人権を尊重することが行政の基本です。コスト意識等の以前に基本的な事として人権意識が常に強調されるべきです。当事者や市民の皆さんとともに条例の内容を議論し、報告にある「人権施策先導都市」「人権文化の確立」をぜひ実現したいと考えまず。

(3-4)
 賛成です。ただし、上記に示された提言の実現と史実に忠実な復元とは、両立できないため、今の計画は直ちに中止すべきと考えます。

(4-1)
 根拠が乏しいと考えます。そもそも市民にとって本当に必要な事業であれば、入場料で建設費用を賄うのではなく、公費や寄付金で建設すべきです。

(4-2)
 根拠が乏しいと考えます。

(4-3)
 ただちに計画を中止し、材木は全国の文化財の修繕に活用します。


(5-1)
 非公開にしている理由が分かりません。公開すべきという考え方に賛成です。

(5-2)
 二方向避難路の確保は必要です。安全な避難路なしに建設は認められません。

(5-3)
 考えらえません。そんなところに観光客を入れるわけにはいきません。

 6.
 有形文化財登録を申請に賛成です。
 市内で戦後復興期の建築物が少なくなっており、そういう意味でも貴重な建築物です。戦後のまだ生活が苦しかった時代に、市民の皆さんが力を合わせて復興させたこの天守閣は簡単には壊せません。

(※質問及び補足情報に関しては割愛させていただきました)

立候補者:大塚 耕平 さまの回答

                                                                                
1−1
客観的根拠のない設問は適切ではありません。

1-2
文化庁の見解は理解できます。

1-3
これまでの経緯と事実を市民に説明することを考えています。


2-1
完全な両立は無理です。極力そうなるように工夫するということが現実的解決策です。

2-2
開発支出そのものは理解できますが、その水準が適切であるか否かは精査が必要です。

2-3
早急に回答すべきです。


3-1
差別発言は問題だと思います。

3-2
条例改正、要領明記、指針提示のいずれも行うべきと考えます。

3-3
人権条例を制定すべきと考えます。

3-4
木造化事業における人権擁護は当然です。


4-1
根拠は再検討が必要だと思います。

4−2
この設問の指摘も含め、根拠の再検討が必要だと思います。

4-3
木材調達は早期に過ぎ、保管料が発生していることは問題だと思います。


5-1
全て公開されるべきです。

5-2
二方向避難路の整備は必須と考えます。

5−3
高所の歩行避難は現実的ではありません。


6
耐震構造上の問題と有形文化財としての価値を比較検討すべきと考えます。

参照資料


※1 「鉄筋コンクリート造天守等の老朽化への対応について(取りまとめ)」令和2年6月 文化庁 史跡等における歴史的建造物の復元の在り方に関するワーキンググループ

https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kondankaito/shiseki_working/roukyuka_taiou/pdf/92335501_01.pdf
https://app.box.com/s/p59ke7mpnxmpyrlwayoflrb9rpb27i6x

※2 「名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募」公募要項(令和4年4月18日)

https://www.city.nagoya.jp/sportsshimin/cmsfiles/contents/0000174/174220/04_siryou03.pdf
https://app.box.com/s/9nf1kjyccbjatcl08cxo1t9bb1tni5ln

※3 日本弁護士連合会発行
「名古屋城天守閣にエレベーターの設置を求める人権救済申立事件(要望)」(2022年10月24日)

https://www.nichibenren.or.jp/document/complaint/year/2022/221024.html
https://app.box.com/s/i6e8ns00p55sgzekzt74neuq5es224ju

※4 「名古屋城木造天守閣の昇降に関する公募 公募概要」(2022年7月) → 差別発言最終報告の 参考資料19

https://web.archive.org/web/20230321040200/https://www.castle-challenge.city.nagoya.jp/files/pdf/competitionsummary.pdf
https://app.box.com/s/mv99kqcvfo46izo0k3oi7e95yuvb55mc

※5 「名古屋城天守閣木造復元に向けた調査業務」

https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/save/tenshu_information/29chousakekka_1.pdf

 (文書には作成者も作成年月日も示されていない)

https://app.box.com/s/j4xov7fvm8eb3jlgbdmay7ks25yk8s0a

※6 同調査業務とその根拠とされる国立社会保障人口問題研究所の全国の将来人口推計結果の比較図表

https://f.hatena.ne.jp/ichi-nagoyajin/20180626003711

(同調査業務とその根拠とされる国立社会保障人口問題研究所の全国の将来人口推計結果の比較図表)

https://app.box.com/s/s4wise1fwzt6oog87m51bj62k8o5xg84

※7 名古屋市 平成30年6月定例会7月4日

https://ssp.kaigiroku.net/tenant/nagoya/SpMinuteView.html?council_id=485&schedule_id=12&minute_id=90&is_search=true

https://app.box.com/s/191j1i0o11mtnl44lom83k8xhrg86lu3

※8 「特別史跡名古屋城跡木造天守整備基本計画(案)」第8章「復元計画と活用」(「特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第56回)」令和5(2023)年6月12日)

https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/save/tenshu_information/uploads/92fbe410abef7d7aa02ccb663ef3be7b.pdf

https://app.box.com/s/5swxe63yo2ctahv0vb0tnvg3hw5blkoc

※9  一般財団法人日本建築センター(BCJ)の評定

http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200318-2.pdf

https://app.box.com/s/w0fxmgqvd583lkxqrqwbkvhvawrrbb66

※10 一般財団法人日本消防設備安全センターの評価書

http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220104-1.pdf

https://app.box.com/s/9euq0pgnca8cbemkfqp0xhcmun7jces3